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第40回研究大会 開催報告

国際公共経済学会 第40回研究大会
大会テーマ「誰がための公共経済か?―改めて、公共の意味を問い直す」

日 程:2025年12月6日(土)、7日(日)
会 場:関西学院大学上ヶ原キャンパスB号館(2F、3F)

 


第40回研究大会の奨励賞の受賞者と、一般報告、シンポジウム概要をご報告いたします。

【奨励賞】

「介護保険制度における介護給付費の増加要因と利用者選好の地域間差―市町村レベルの分析―」
代田知之(中央大学大学院経済学研究科博士後期課程)

「組織的公正が公共価値の創造に及ぼす影響に関する一考察-韓国の文献レビューによる統合的分析-」
徐珠蓮(兵庫県立大学大学院経営学研究科博士後期課程)

「フィリピンの障害者を取り巻く社会経済状況―政府統計と独自データの量的分析」
松下弘樹(大阪公立大学経済学研究科博士後期課程)


 

一般報告

座長:柏木 恵(キヤノングローバル戦略研究所)

「売上回復期における公営競技場の整備と有効活用」
報告者:山本将利(横浜商科大学)
討論者:西村 陽(大阪大学)

「農福連携による新たな公園エリアマネジメントの計画論的研究―都市環境デザインの観点から―」
報告者:小菅謙次(京田辺市役所企画政策部)
討論者:栗本裕見(大阪公立大学)

「運転事故を考慮した鉄道事業の効率性の測定」
報告者:北村友宏(追手門学院大学)
討論者:藤井大輔(埼玉学園大学)

「有機農産物を媒介にしたつながり―エクアドルにおける参加型認証制度を事例として」
報告者:太田多聞(筑波大学人文社会系特任研究員)
討論者:北島 健一(立正大学)


 

40周年メインシンポジウム

「誰がための公共経済か?―改めて、公共の意味を問い直す」

大会趣旨を踏まえ、本シンポジウムでは、国際公共経済学会において組織されている「公共事業」「社会経済」「情報」という3つのテーマに関する部会の内容を横断させた議論を展開する。登壇者は主に、公共的な取り組みに関わる実践者・アカデミアである。なお、メインシンポジウムに関しては一般公開としており、学会員以外の方々も参加申し込み可能です。

登壇者:
石田哲也(一般社団法人こんぴら観光まちづくり協会)
伊藤昭浩(名古屋学院大学)
長峯純一(関西学院大学)
宮浦恭弘(大阪駆動開発コミュニティ)

コーディネーター:西田亮介(日本大学)

<五十音順・敬称略>

 

シンポ要約

【パターン1】
40周年メインシンポジウムでは、公共経済は誰のために何を実現するのかという原点に立ち返り、
公共事業と社会経済と情報の三領域を横断しながら、公共の意味と担い手を捉え直す議論が行われた。

地域の現場では、観光や文化資源を核にした価値づくりを、組織の再編や官民連携、人材育成と結び付け、
得られた成果を地域へ還流させる仕組みが重要であることが確認された。

同時に、地域の魅力や評判のように目に見えにくい価値は、社会全体の資源として共有されやすい一方で、
維持や発展には継続的な運営と投資が不可欠であり、短期の成果だけで測れないという論点が浮かび上がった。

理論面では、公的に供給されているサービスであっても混雑などにより私的財的に振る舞い得ることが示され、
公共財と公的供給財を丁寧に区別し、何を公共として扱うのかを制度とデータの両面から問い直す必要が提起された。

情報領域では、学習機会や知識の共有を支える技術コミュニティの役割が焦点となり、
首都圏への情報集中という現実のなかで、オンライン連携や合同開催などを通じて地域差を縮め、
次世代へ体験と学びの機会をつなぐ取り組み自体が公共的価値を持つことが共有された。

全体として、公共は行政が単独で供給するものに限られず、地域と大学と企業と市民、
そしてコミュニティが、それぞれの強みを持ち寄りながら目的を共有し、価値の創出と再投資、
情報の開かれ、参加の回路、ルールと運用をどう設計するかという実践的課題として再定義されたと言える。

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【パターン2】

公共経済の議論は長く続いてきた。
しかし、社会の課題が複雑化するいまこそ、「公共とは何か」という問いを改めて立て直す必要がある。

40周年メインシンポジウムでは、「公共事業」「社会経済」「情報」という三領域を往復しながら、
「公共は誰のために、何を、どのように支えるのか」という原点を軸に議論が進んだ。

地域の現場からは、観光や文化資源を手がかりに価値をつくり直し、
組織の再編や官民連携、人材育成を通じて地域へ還流させる実践が共有された。

地域の魅力や評判のような目に見えにくい価値は、多くの人に開かれやすい一方で、
維持には運営と投資が欠かせず、短期の成果だけでは測りにくい、という論点も浮かび上がった。

他方で理論面からは、公的に供給されているサービスでも、混雑などにより私的財のように振る舞い得ることが示され、
「公共財」と「公的供給財」を区別して捉える必要が提起された。

情報領域では、学習機会と知識共有を担う技術コミュニティの役割が焦点となり、
情報の集中が進む環境下で地域差を縮め、次世代へ体験と学びをつなぐ工夫そのものが、
公共性を支える営みであることが確認された。

全体として、公共は行政が単独で供給するものではなく、地域、大学、企業、市民、コミュニティが目的を共有し、
「価値の創出と再投資」「情報の開かれ」「参加の回路」をどう設計するか、という実践の問題として捉え直されたと言える。